【在籍出向】のことです。
つまり、今いる会社に身分を置きながら、他の会社に行って仕事をすること。
つまり、雇用契約が両方に存在することになります。
ただし、指揮命令をする人は出向先になります。
人事異動は出向先で決めることもできます。
そこが派遣と違うところです。
派遣は、労働契約関係はあくまで派遣会社にあります。
人事異動の権限は派遣先にありません。
派遣先の社員ではないのです…
さて、話を戻します。
出向の場合、お給料は通常は出向先(労務の提供を受けるところ)から
支払われるのが通説のようですが、どちらから支払われても問題はないようです。
【在籍出向】させるには、就業規則の根拠(出向命令や人事異動・配置転換)に
基づいて行われることで、第1段階はクリアしますが、
出向の場合は、そのほかに本人の同意が必要になります。
第2二段階をクリアすれば、
出向契約に基づき、他の企業へ出向することになります。
さて、ココからは税務の話…
出向と派遣は、消費税の課税関係に違いがあります。
出向というのは、親子関係、資本関係、取引先の会社に対してする人事異動を言います。
出向に、利益を生み出す仕組みは存在しません。
要するに損得なしの人事異動になるのです。
つまり出向者の給料をそのまま出向元⇔出向先間でやり取りをするだけです。
そこが業務委託や派遣とは違います。
【例】
社員の給料30万円の方を出向させる場合
出向元⇔出向先間で30万円のお金の移動があります。
これを【給与負担金】といいます。
これについては、国税の決まりで消費税は不課税取引になります。
つまり30万円の給料を受け取った会社は課税売上になりません。
そして、そのまま社員にそっくりその金額で支払われます。
当然給料は不課税ですのでこれで+-0円ということになります。
ココには利益が発生する仕組みはありません。
利益を生み出すしくみは、派遣契約です。
派遣契約は、派遣労働者と同額の賃金をやり取りするだけでなく、
そもそも会社同士が、業務委託契約を結んで
その金額の範囲で、派遣労働者に給料を支払います。
全額支払う必要はないわけで、ここが派遣会社の粗利になります。
そのときの業務委託契約による料金は【消費税の課税取引】になります。
派遣会社が受け取った売上は、課税売上になります。
支払ったほうも課税仕入れになります。
一般に【出向】が可能かどうか?
を聞かれて、
労務上では、
・出向契約規定の有無
・就業規則の根拠の有無
・本人の同意
があればOKですが、
税務上
・出向は利益を生み出す仕組みにはなじまないのでそれで問題ないか?
・利益を生む発想であれば派遣契約を検討する。
(特定労働者派遣の届け出又は一般労働者派遣業の許可が必要ですが)
・税務上の消費税の取引を両社間で正確にやり取りができるか?
を確認しないと、一概に出向契約が簡単にできるとは言いがたいのです。
事実、消費税は税務署の調査では、
解釈の違いで問題になることの多いところです。
運用上、気をつけたいところです。
- 関連記事